ホーム 

新技術紹介

世界初の「金属を溶かさない接合」技術を開発


 富山県産業技術研究開発センターものづくり研究開発センターの山岸英樹副主幹研究員は、世界初の金属を溶かさないで接合する技術(低温鍛接法:CFW)を開発しました。研究成果は海外論文誌に発表するとともに特許権を取得しています。本技術は、一般に接合ができないことが問題となっている異なる金属材料間の直接接合を実現可能とします。




1.本技術の概要

2.論文発表

3.関連特許

4.参考資料

 本技術の概要
  〜低温鍛接法(CFW)とは?〜

概要
 材料を溶かす接合方法(いわゆる溶接)では、多くの組合せの異種金属において、脆弱な金属間化合物(IMC)が溶接時の高温における化学反応のために容易に生成、成長してしまい、実用的な接合強度を得られないといった問題が生じます。例えば鋼とアルミニウムの組合せの場合、これらの反応層厚がわずか1μm程度であっても、その強度が著しく低下することが知られています。

 低温鍛接法(Cold forge welding: CFW)は、加圧により接合界面に大変形を付与すると同時に、溶かさずに効率よく低温(250〜450℃程度)で拡散を行うことで、反応層生成を接合の原理としながら、その厚みをナノメートルオーダー(1mmの100万分の1)に抑え込み、接合部の強度が低下する問題を根本的に解決したものです(反応層を無害化:実質IMCフリー)。プレス機による型鍛造と同様に、一瞬(例えば約0.1秒)で成形と同時に接合を実現できるため、非常に生産性が高いマルチマテリアル技術です。

 本法の特徴として、圧下比(接合前後の肉厚比)を大きくするほど、すなわちより大変形を導入するほど、接合界面が高清浄化、酸化被膜などによる拡散障害性が低下し、より低温で接合が可能になります。従来の溶接では過剰な反応のために接合が困難であった「鋼とアルミニウム」「銅とアルミニウム」「チタンとアルミニウム」などの高強度異材接合を可能にします(アルミニウム同士の接合も可)。これにより、モビリティのマルチマテリアルボディを実現する次世代スポット接合機や電動化技術を向上させる高機能複合電極などの開発が期待されます。
応用分野
 輸送機器(マルチマテリアルボディ・部品、スポット接合機)、電装技術(バスバー、端子、板ターミナル、ハーネス)など
キーワード
 固相接合、異材接合、高生産性、高機能化、軽量化、アルミニウム

 発表論文

@Multilayer bonding of A1N30H foils to A1050 plates using cold spot forge welding
H. Yamagishi, Y. Hisada, T. Otsubo, N. Omori
Heliyon, 9(2023)e23103.  2023年11月
ACu/Al Dissimilar Cold Spot Forge-Welding: Effects of Bonding Temperature and Reduction Ratio on Joint Strength and Reaction Layer Growth
H. Yamagishi
Metallurgical and Materials Transactions A 54(2023)3519-36.  2023年8月
BTensile strength and fracture morphology of Fe/Al solid-state bonding interface obtained by forge welding: Effect of oxide scale and estimation of the bond strength of each phase
H. Yamagishi
Metallurgical and Materials Transactions A 53(2022)4061-80.  2022年10月  
CDissimilar Spot Forge-Welding of Pure Titanium TP270 and Aluminum Alloy AA6061
H. Yamagishi
Metallurgical and Materials Transactions A 53(2022)264-76.  2022年1月  
DSpot forge-welding for rapid dissimilar joining of Fe to Al to produce an intermetallic compound-free interface
H. Yamagishi
Materials Transactions 62(2021)1576-82.  2021年10月
EBond strength and bonding interface of Ni/Al dissimilar joint by spot forge-welding
H. Yamagishi
Materials Letters 299(2021)130080.  2021年9月
FHigh-productivity and high-strength Fe/Al and Al/Al dissimilar joining by spot forge-welding
H. Yamagishi
Metallurgical and Materials Transactions A 52(2021)741-52.  2021年2月
GHigh-Productivity and high-strength Fe/Al dissimilar metal joining by spot forge welding
H. Yamagishi
Materials Letters 278(2020)128412.  2020年11月

 関連特許

特許第7586449号「封止構造体の製造方法」【登録日】令和6年11月11日(2024.11.11) 
特許第7526404号「金属材料の接合方法」【登録日】令和6年7月24日(2024.7.24) 
特許第7350369号「金属材料の接合方法」【登録日】令和5年9月15日(2023.9.15) 
特許第7114029号「金属接合方法」【登録日】令和4年7月29日(2022.7.29) 

 参考資料

参考資料   関連業績   外部リンク
◆お問い合わせ
富山県産業技術研究開発センター
企画管理部企画調整課
TEL:0766-21-2121
FAX:0766-21-2402
E-mail:kikaku2(atmark)itc.pref.toyama.jp
↑「(atmark)」を「@」に修正し送信下さい。

 ホーム